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『旅のオチが見つからない インド&南アジア混沌ドロ沼!一人旅』 低橋 (KADOKAWA)

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店員のオススメ

浜松本店

『旅のオチが見つからない インド&南アジア混沌ドロ沼!一人旅』 低橋 (KADOKAWA)

浜松本店 副店長:永山のおすすめ



新型コロナの流行以降、旅、とくに海外旅行は私たちの生活からぐっと距離が遠くなっていた。
この中に描かれているのは、世界がウイルスのもたらした混乱に包まれる以前の、自由気ままで混沌とした旅の記録だ。

少ししんみりとした前書きから1ページ捲れば、初っ端から濁流のように流し込まれるインド人の勢い。
旅の素人どころか同じインド人でも太刀打ちできない、対観光客に特化した押しの一手なインド人や距離感のおかしいインド人とのやり取りと、そこには当てはまらない、現地で普通に暮らす人たちとの心和むエピソードが入れ代わり立ち代わり迫ってくる。
「きっとまたおいで」と言ってくれた人のいる世界が急に遠くなる無常感、
野良なのか何なのかよくわからない現地の犬とのふれあい、
インド北部、インド南部、ネパール、バングラデシュ……なんとなくイメージでひとくくりにしてしまいそうな各国の料理が、当たり前だけど少しずつ違っていて面白いこと。
土を踏み、目で見て耳で聞いて鼻で嗅ぎ肌で感じたものの描写は、その土地の生々しい喧噪や湿度がすぐそこに感じられるような確かな実感を持っている。

きっといつかまた、皆が自由に旅に出る日がくる。
そのときまでは、経験したこともないのになぜかどこか懐かしいような旅の匂いをここでお裾分けしてもらおう。