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『君たちはどう生きるか 』  吉野源三郎   (岩波書店)

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ららぽーと磐田店

『君たちはどう生きるか 』  吉野源三郎   (岩波書店)

ららぽーと磐田店・店長:田中のおすすめ



この古典的作品に、改めて注目が集まっている。
コペル君と呼ばれる少年と、
その叔父さんとの対話が描かれる物語だが、
叔父さんが語る言葉のひとつひとつに、
はっとさせられる。例えば次のような言葉。


 
「君のお母さんは、君のために何かしても、
その報酬を欲しがりはしないね。
君のためにつくしているということが、
そのままお母さんの喜びだ。
君にしても、仲のいい友達に何かしてあげられれば、
それだけで、もう十分うれしいじゃないか。
人間が人間同志、お互いに、好意をつくし、
それを喜びとしているほど美しいことは、
ほかにありはしない。そして、
それが本当に人間らしい人間関係だと、
――コペル君、君はそう思わないかしら」(97頁)
 


本書のなかで最も印象に残る言葉のひとつ。 
何のてらいも留保もなく、
人間の美しさについて真っすぐに語る
叔父さんの言葉は、深く私たちの胸を打つ。
 
こんな場面もある。
コペル君は、不誠実な振る舞いから
友人を怒らせてしまう。
謝ることをためらうコペル君に、
叔父さんはこう語る。
 


「また過ちを重ねちゃあいけない。
コペル君、勇気を出して、ほかのことは考えないで、
いま君のすべきことをするんだ。
過去のことは、もう何としても動かすことはできない。
それよりか、現在のことを考えるんだ。
いま、君としてしなければならないことを、
男らしくやってゆくんだ」(235頁)

 
余計なことを考えずに、
いま自分の為すべきことをする。
叔父さんの言葉は、コペル君を励ますと同時に、
私たちをも強く励ます。
何度でも読み返したい一冊だ。