ふきよせとは紅葉の時期、色とりどりの葉が風で集められたさまをあらわすそう。
町のコンビニのギャル店員・きらりが起こすささやかな風にのって、同じアパート、ひいては町に暮らす『ひとり』たちが吹き寄せられ、少しずつ寄り合っていく。
スープの冷めない距離に住んでいるけど近すぎず、
相手に何かがあれば手を差し伸べて、
一日の終わりに「おやすみ」と言い合ってひとりの部屋へ帰る。
家族ではない、
友人と呼ぶべきかもわからない、
けどそこにいてくれると心が和らぐ誰か。
『みんな』ではない『ひとり』が集まって、それぞれの人生をやさしい彩りで染めていく物語。