「まさか地元に(人食い)鮫が出るとは」
裏表紙のあらすじに目を通し飛び込んできた「不二宮市」や「来常湖」という地名……思い当たる節が、
というのか第一印象はコレに尽きました。
この物語は国際的なトライアスロンレースを間近に控えた、富士山お膝元にあるとある町
とその小さな人工湖(水泳会場)を舞台に、突如として現れたと噂される鮫の調査をレース開催のため
余儀なくされた市役所職員と、とある人物から鮫の調査依頼を受けやってきた学者の鮫スペンスストーリーです。
モデルの地となった地元民ならば読みながらも目蓋の裏に物語の光景が浮かび、
地元ではない人も圧倒的な鮫の強さに思わず目を逸らしたくなるような、
スリル感たっぷりの展開が待ち構えています。
「来常湖」のモデルになっている(であろう)「田貫湖」は富士宮市内、朝霧高原の一角に在り富士宮市民、
またはキャンプなどを楽しむ人たちにとっての憩いの場のひとつであり、
同時に駿河湾や大きな流れを持つ川からは離れているのをご存じかと思います。
どう考えても鮫……まして人を食い殺せるほどの強大な力・体躯をもつ鮫が遡上し生きていけるような
場所では無いのです。
一体どうして鮫が?と主人公同様半信半疑な気持ちで読み進めていくうちに、驚きながらも「なるほど!」
と思わず膝を打つ展開との邂逅……とにかく最初から最後まで止まることなく読み進めていただきたい一作かつ、
富士宮を知る人には是非読んでほしいと思っています。