この本は、X(旧Twitter)で偶然著者である歌人の中村森さんのポストを見かけたことが
縁となり出会うことが出来ました。
(書店員としては、少し恥ずかしい巡り合わせの方法ではあるのですが…)
別れても 会えなくなっても見えずとも
一度出会えばずっと祝祭
スマートフォンの液晶画面からこの一首が目に飛び込んできて「あぁ、いいなぁ」と、
脳裏に様々な言葉が連なるよりも先に胸の中に浮かび上がり、
直ぐに書籍を購入しました。
様々な巡り合わせと別れが連なり人生が続く中で、自分がそう思える相手、
出来事などとどれだけ出会えるだろうか、
自分の心がそう思える心持ちで過ごしているだろうか、
とこの歌に出会ってから折に触れふと立ち止まり考える時があります。
【自由律の口語短歌】と書くと何だかとても硬い説明になってしまうのですが、
この1冊には中村森先生が手掛けられた、
現代の…自分たちが普段使う言葉で約三十一文字ほどで綴られた自由律の口語短歌が
1冊の中にたくさん描かれています。
【短歌】というとどことなく近寄りがたい感覚を覚える方もいるかもしれませんが、
自分たちがいつも読み慣れた、
聞き慣れた言葉で紡がれているのでスッと目と心に入ってきます。
一首一首はツイートよりも短く、読むのだって一瞬。
けれどそのなかに浮かぶ想いはどこまでも自由で不自由で、
軽やかでしたたかで、読む人それぞれ心に留まる歌がある一冊だなと感じました。
私にとって、この本に出会えたことが祝祭でした。