
私はミステリー小説が一番好きですが、「どの作品が一番好きか?」と聞かれた際は、
迷うことなく、今回挙げた「ブラウン神父」シリーズと答えます。
時代的にはシャーロック・ホームズよりも少し後の1920年代くらいのイギリス。
探偵役となる主人公のブラウン神父(名前は“J”としか作中に出てこない)は、丸顔で
小柄、眼鏡をかけており、常に蝙蝠傘を持っているという、うだつの上がらない、どちら
かと言うと間抜けに見える見た目で、カトリックの司祭です。
ただ、一度事件が発生すれば、そんなうだつの上がらない見た目とは真逆の洞察力
と推理力を発揮し、たちどころに解決してしまいます。他人には見えていないものが
見えている神父の言動や行動に、当初周囲の人間達も「頭のおかしい人」のような
感じで接するのですが、鮮やかに解決すると、それらの言動や行動が全て繋がって
いたことが判明します。
最近の日本のミステリー小説の主人公によくある、“ギャップのある探偵像”の草分け
的な存在だと思います。
勧善懲悪で解決するのではなく、神父であるが故に、悪人も諭すというところも魅力
です。
江戸川乱歩も、「(著者の)チェスタトンのトリック創案率は探偵小説随一」と賞賛した
シリーズ。本作の「見えない男」などは、「そんなトリックありかぁ!」と思わず言いたく
なるトリックです。
シリーズは5作ありますが、どれもオススメです。
是非読んでみてください!