
「木挽町のあだ討ち」で直木賞・山本周五郎賞をW受賞した永井紗耶子さん(島田市生まれ)の直木賞受賞後第1作が発売されました。
今作は江戸後期の戯作者、栗杖亭鬼卵(りつじょうていきらん)と寛政の改革を主導した老中松平定信が、
互いに隠居した身分で掛川の日坂宿で出会う所から物語が始まります。
1ページ目から掛川城が出てきます。
文化人と、かつての老中の邂逅、そこで鬼卵の半生を語り始めるのですが
江戸時代というと武家社会が際立ってきますが
鬼卵は多くの読本を読に送り出している作家で、
作中では文化が人々の中に入り込み、世の中を動かしている事が描かれています。
今の社会に通じる世界が江戸時代に存在しているのが描かれていました。
「世の中の 人とたばこの よしあしは 煙となりて 後にこそ知れ」
作中に出てくる鬼卵の言葉ですが、
江戸時代にも筆の力が存在していたんだと感じることができました。
地元出身、永井さんの時代小説をぜひご一読ください。