友人の子供がまだ幼い頃、「ぼく、きいろいたべものがすき!」と宣言していて、それを聞いた時は、
ただただ可愛く純粋でほほえましいな、と思っただけでしたが、後になって考えてみると、
ちいさな子供にとって色は「もの」を認識したり興味を持つのに重要な役割を果たしていて、
色で好きを判断する感性をもっているのだと気づきました。
この絵本を手に取った時、そのことが思い出され、
もしあの時この絵本があったら友人におすすめできたのにと思いました。
本書は、たべものが色ごとに分けられていて、それぞれのシルエットから、
何のたべものか当てっこするクイズの形式なっています。
ページをめくると答えのたべものが描かれています。
色やかたちは多種多様で、何のたべものか推理するのは案外難しく、大人でも気づけば夢中になります。
そして、もうひとつ注目なのは、たべものの絵が実に緻密なこと。
作者は昨年末に話題になった絵本『おせち』を描かれた内田有美さんです。
これは本当に絵なのかな、と全ページに見入ってしまいます。写真よりも美味しそうな絵だな、と感動します。
いろやかたちに興味を持ちはじめたお子様と楽しむのにおすすめですし、
繊細で美しい絵をいつでも楽しめるよう、手元に置いておきたくなる1冊です。
(ちなみに、きいろいたべものがすきだった子は、
揚げ物が好物の青年となり、今は茶色いたべものが大好きです。)
