年は戦後80年。戦争をテーマにしたメディアの特集や書籍の刊行が増え、
戦争について考える機会が例年になく増える年ではないでしょうか。
その中のひとつとして、最もおすすめしたいのが、先日発売された絵本『一郎くんの写真』です。
新聞記者である作者に一枚の日章旗の持ち主を探してほしいという依頼があります。
旗に書かれた「一郎くん」という名前を頼りに取材をしていく中で、
一郎くんが静岡市に住んでいたことが分かります。
「一郎くん」とはいったいどんな人物なのか…。
この絵本には戦争を経験した人たちの様々な思いが記されています。
親友を戦場に送り出した後の気持ちや、勝つことを信じて願った時の気持ち、息子を思う母の気持ち。
そして一郎くんが戦地に旅立つときの気持ち…。
それは私たちと変わらない、静岡に暮らす普通の人々の思いです。
そこに自分を重ね合わせてみることで、ぜったい戦争はしてはいけない、ということを再実感しました。
また、静岡を走り回り、丁寧に時間をかけ取材された作者の強い思いも、この絵本には詰まっています。
最後まで諦めなかったから、一郎くんの写真が見つかり、奇跡のような出来事が起こったのだと思いました。
これから先もずっと、戦争をしないという思いを一人一人が強く持ち続けられるよう、
子ども、大人に関係なく、一人でも多くの人に読んでいただきたい絵本です。
