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ひとりでパン屋を営む「くまさん」。
朝起きてごはんを食べつつパンを仕込み、お店や移動販売でお客さんにパンを売り、仕事が終わったら夕食をとり、その日を売上をきちんと数えて、眠りにつく。
列挙すればなんてことはない一日の流れを描いた絵本で、派手なことは特に何も起きない。
そんな一日の中でこつこつと仕事に打ち込むくまさんは、常に大事なことを忘れない。
それはしっかりとごはんを食べたり、いつでもお客さんへの挨拶を忘れなかったりと些細なことではあるのだけど、忙しさにかまけて一番おろそかにしてしまいがちなところでもある。
小さな子どもには、レジの下にしまってあるキャンディーをあげたりするところなんかも粋だ。
みんなも礼儀正しいくまさんが大好きで、配達に行ったお宅の男の子はくまさんにゼリーをあげたりしている。
(そしてそれは、しっかりとくまさんの晩ごはんのテーブルにのっている。)
台詞はいっさいないながらも、それぞれのページに描かれているくまさんの真摯な仕事ぶりは、見た目のかわいらしさと裏腹にしびれるほど格好いい。
一日の仕事を終えて晩ごはんを暖炉の火で炙っている背中なんて、どうかしていると思うぐらい渋すぎる。
疲れた心に染み入りつつ、仕事に向き合う上で心の片隅に置いておきたいお手本でもいてくれる、あこがれの存在だ。