
2018年7月に刊行された、星にまつわる作品を集めた
アンソロジーですが、なぜ今になって紹介するのかと
いうと、その理由は、ひとえに、鷹野つぎのエッセイ
「七夕祭」が収録されているからです。
鷹野つぎは浜松市出身の作家で、浜松文芸館にて、今年
3月から6月まで、展示会が開催されました。
その展示会によって私は、改めて鷹野つぎという作家の
独自性、稀少性に気付かされたのですが、残念なことに、
現在、彼女の出版物すべてが絶版となっています。
(1979年に『鷹野つぎ著作集』全4巻が出版されまし
たが、これも、今は古書店を探すしか、手に入れる方法はありません)
そんな中にあって、本書は、数少ない「新刊書店で普通に
注文して、鷹野つぎ作品を読める文庫」になります。
「七夕祭」は、『四季と子供』(古今書院 昭和15年発行
ただし、昭和16年発行説もあります)に載った小品です
が、極めて美しい文体で表現されており、鷹野つぎの
魅力を伺い知るには、十分な魅力を今も湛えています。
本書が、鷹野つぎに触れる一つのきっかけとなることを
願っています。
