Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

『はっぱみかん』 風木一人 山口マオ  (佼成出版社)

login
店員のオススメ

バイヤー(児童書)

『はっぱみかん』 風木一人 山口マオ  (佼成出版社)

児童書バイヤー:田雜のおすすめ


自分にだけ「はっぱ」がついているのが自慢の、みかんが主人公。
自分は特別でかっこいいと思っていて、他のみかんは自分の引き立て役扱い。
でもある日、大事なはっぱが取られてしまい、自信喪失。どん底まで落ちます。
の中、他のみかんから掛けられた一言で、本来の自分を思い出し、元気を取り戻す。そんなお話です。


あらすじだけだと、皮肉っぽくて一見シリアスな内容のようにも思えますが、
とてもユーモアにあふれた絵本です。
なんといってもはっぱみかんのキャラクターが魅力的。



最初はイラッとさせられるはっぱみかんですが、ただのみかんになってからの感情の振れ幅がすごく、
その姿に実は素直なやつだったんだと愛着がわきます。

そして、楽しく読み終わったあと、じわじわと考えさせられます。
自分の中にもはっぱがあって、はっぱみかんのようなふるまいをしてしまってないか、とか、
自分だけじゃなく、子どもやパートナーなんかの身近な人たちにも、
はっぱがあることを過度に期待していないか、などといった風に。


特別な何かを持っていなくても、自分も他人もそのままを愛そう、
というこの絵本のメッセージが心に響いてくるのです。

お話を楽しむことに加え、「特別ななにかが無くても、あなたはあなただよ。
自分を好きでいてね。」というこの上なく温かいメッセージを読む方に届けられる絵本です。