
一つの事件に対して、複数の探偵たちがそれぞれ“自分こそ真相にたどり着いた”と主張する──。
そんな独創的な構造で読者を魅了し続けてきた、英国古典ミステリの金字塔です。
毒入りチョコレートをめぐる、美しくも不可解な事件。
その真相を探るために集められたのは、個性豊かな探偵サークルの面々。
彼らは同じ証拠を前にしながら、まったく異なる推理を積み上げていきます。
「なるほど、こういう見方があったか」と唸らされたと思うと、
次の探偵が前説を鮮やかに覆してくる──その知的な緊張感が、本作最大の魅力です。
静謐なユーモアに満ちた語り口と、英国ミステリらしい気品のある雰囲気。
そして何より、“推理することの楽しさ”が存分に味わえる構成は、
ミステリ好きはもちろん、本格推理を初めて読む方にもおすすめできます。
読み終えたとき、きっとあなた自身も “自分ならどう推理したか” と考えずにはいられません。
ミステリの醍醐味をたっぷり詰め込んだ逸品。
古典でありながら、今読んでも新鮮で刺激的な一冊です。
