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『ゴリラ裁判の日』 須藤古都離    (講談社)

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『ゴリラ裁判の日』 須藤古都離    (講談社)

バイヤー:丸林のおすすめ



アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をご存知でしょうか。
動物園のゴリラ舎に転落した男児を守るためとして、絶滅危惧種のゴリラが射殺された事件です。
テレビ等のメディアで取り上げられた事があるのでご存知の方も多いかと思います。
この小説のモチーフは「ハランベ事件」を題材にしております。

主人公は「ローズ」というゴリラ。
というよりも女性です。
ローズは人間に匹敵する知能があり言葉を理解できます。
手話で人間とも会話ができます。

アフリカの大自然で育ち、大切な仲間と自然の厳しさの中で成長してきます。
そしてアメリカの動物園で暮らすようになるのですが
そこで出会った夫は、檻に侵入してしまった4歳の人間の子どもを助けるという理由で銃殺されます。


人間の命を救うためにゴリラは殺されてもいいのでしょうか。
ローズは裁判という形で世に訴えます。
その裁判は陪審員と世論を巻き込んで粛々と進んでいきます。

もうここまで来ると自分も陪審員の気持ちで読み進めていました。
ローズは一人の女性としか思いえない巧みな心理描写に命の尊厳とは何かという命題を強烈に迫られ
私は一人の陪審員としてどういう決断を下すか悩みに悩みました。
皆さんも陪審員として参加されてみてはいかがでしょうか。