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『半暮刻』月村了衛

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『半暮刻』月村了衛

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月村先生の本に出会ったのは、10年近く前だっただろうか。
「機龍警察」シリーズでお名前は知っていたが、実際に作品を読んだのは幻冬舎から頂いたゲラかプルーフで「土漠の花」を読んだのが最初だった。
そのゲラ段階では確か本のタイトルもまだ「土漠の花」ではなかったと記憶している。
その作品があまりにも面白すぎたので感想を送ったところ、出版社さんから”月村先生を囲む会”があるという話を伺い、静岡から馳せ参じた。
参加書店員さんたちは業界でも有名な書店員たちばかり。しかも都内の方ばかりだったので元来人見知りの自分はほとんど発言もできずだった。

それから月村先生の作品は定期的に読んできていた。
前回直木賞に「香港警察・・・」が候補に上がったときは、思わず「よっしゃ!やっと来た!」と思わずガッツポーズ。

そして今回、この「半暮刻」。
好きで今までに何度か読み返している漫画「サンクチュアリ」を思い出した。
真逆の境遇で生きてきた、遠く離れた翔太と海斗という”点”が、次第に近づき、ついに交わり、そしてまた離れていく。
二人の激動の人生に、実際に起きた様々な事件を絡ませスリリングに展開する物語に、気がつくとあっという間に引き込まれていた。
怖い世界だな、と思いながらも圧倒的なエンターテイメントに落とし込まれたその世界観にどっぷりと浸かり、気がつくと本は付箋だらけ(お気に入りの箇所にいつも付箋を貼るのです)。
ネタバレになるのであまり言えませんが、こんないわゆる半グレの世界の中で、翔太が『本』に出会うことで救われていくシーンに感動しました。