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『迷路館の殺人 新装改訂版』 綾辻行人 (講談社)

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『迷路館の殺人 新装改訂版』 綾辻行人 (講談社)

浜松本店・副店長:永山のおすすめ

Huluでの実写化作品配信を控えている『十角館の殺人』を筆頭とする、綾辻行人氏の『館シリーズ』のうちの一作。

十角館を始めとする奇妙な建物を多く遺し、また自らも不可解な死を遂げた建築家・中村青司の造った館のひとつである『迷路館』を舞台に、とある大御所推理小説家の遺言に従い小説の執筆に取り組むことになった彼の弟子作家たちがひとり、またひとりと犠牲になっていく……
『金田一少年の事件簿』育ちの身としては、いわくつきの人物が遺した館!クローズドサークル!故人の仕掛けた遺産相続ゲーム!そこで起こる連続殺人!毎回巻き込まれる探偵役!と、コテコテの本格ミステリ要素にどうしたってワクワクしてしまう。
館シリーズは数あれど、個人的にこの迷路館が白眉なのは、ほんの些細な描写からあまりにも自然に思考を誘導されていく点。真相が判明した瞬間の、わっと世界がひっくり返る感覚に痺れてしまった。推理小説を読み慣れていたり、作中のわずかな違和感をそのままにせずひとつずつ点検するような人だと、もしかしたらそこまでの驚きはないのかしら?とも思う。ただ先が気になってずいずい読み進める私のようなタイプは、探偵役の島田潔が語る推理のいちいちすべてに息を呑んでいた。我ながらいい読者だと思う。

そしてなんといっても小説という形式で最大限に遊び倒しているような作品なので、「どうやって映像化するの???」と話題の『十角館』以上に映像化不可能ではないだろうか。ここでしか触れられない館シリーズで、すべてが裏返るその瞬間を堪能してほしい。(十角館とこの迷路館がお好きだったら、シリーズ5作目『時計館の殺人』もオススメ! 4作目『人形館の殺人』はシリーズを何作か読んでから読んだ方がいいです!)