子どもの頃から田畑の周りにある里山の風景が好きで、
近所を散歩したり自転車で遠出して浜名湖周辺まで眺めに出たりと自然に親しんでおりました。
世間で環境破壊について何かと取り沙汰されていた時分に
自分にとって一番身近な自然=里山が
実は人間の手による絶え間ない干渉によって形作られる、言わば人工の産物である
という事実にたどり着いた時は衝撃を受けたものです。
身近にある里山に限らず山林や河川、あるいは街中における外来種の増加と在来種の減少、
および環境保全活動についてたびたび報じられていますが
外来種全てを排除して得られたものは本当に自然と呼べるのでしょうか。
遥か昔に中国大陸から持ち込まれ、すでに日本の風景の一部となっている
ウメやイチョウ、ヒガンバナやキンモクセイなども排除するべきでしょうか?
自然の一部である人間の活動に伴って起きた変化は、もはや自然とは呼べないのでしょうか?
わたしたちの想像する“手付かずの自然”という神話について考える時の、
新しいひとつの考え方をこの本では紹介しています。
その他にも環境変化で排除されてしまった動植物や
逆に人間の活動で珍しい生き物が都市部に生息するようになったエピソードなど
世界各地の自然にまつわるエピソードが満載で読み応えたっぷりの
ノンフィクションです。