1960年代の初めから雑文家として文章を書く仕事を
始めた片岡義男さんが、今なお作家として活動されて
いることを、私はとても嬉しく思っています。
片岡さんの文体は、一種独特であり、感情ではなく、
目の前に見えるものを描写して行くような、ディテールにこだわった文章は、私にとって長年、
”一つの憧れ”でした。
現時点(2023年10月)での最新刊である本書もまた、
カレーと餃子という極めて身近な題材を取り上げながら、
片岡さんらしい視線が随所に感じられ、
読む者を、最後まで飽きさせません。
私たちはただ、片岡さんが差し出してくれる料理を
心ゆくまで味わい、堪能すれば良い―本書を読むに当たって、それ以外の態度は一切不要です。